⏩ 直接的な原因は、地中海に発生する低気圧メディケーン
⏩ しかし、気候変動や長引く政情不安、脆弱化したインフラなどが被害を拡大した可能性も
⏩ 国連などは「2度目の壊滅的危機」も懸念
現地時間今月10日、北アフリカのリビアで大規模な洪水が発生し、これまでに1万1,000人以上が亡くなったとされ、死者は2万人に達するという見方もある。(*)なかでも東部に位置する港湾都市デルナは、2つのダムが決壊したことにより壊滅的な被害を受けて、死者の大部分を占めている他、現在でも3万人が避難を余儀なくされている。
View of Derna in December 2020(Maherlink, CC BY-SA 4.0)
国連は、資金の拠出や専門チームの派遣、物資援助などを続けている他、UNICEF(ユニセフ)による医療物資や飲料水などの提供、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による毛布や防水シート、衛生キットなどの拠出、世界食糧計画(WFP)による食糧配給などが進められている。
今回の洪水被害は、直接的には暴風雨・ダニエルによって引き起こされた。これは、地中海(Mediterranean Sea)で起こる低気圧「メディケーン(メディテラニアン+ハリケーン)」であり、この地域では珍しい規模の暴風雨となって、リビアやギリシャ、トルコ、ブルガリアを襲ったものだ。
しかし、これほどの被害が生じた背景としては、複合的な理由が指摘されている。
(*)ただしWHOの報告書では、現時点で約4,000人(3,958人)の死亡と9,000人以上の行方不明者としており、全貌は把握できていない。