⏩ 戦時下での通信を強化するねらい。ガザのネット遮断も視野に
⏩ 「マスク氏はイスラエルのアパルトヘイトを支持している」と非難の声も
⏩ すでにウクライナで利用方針を二転三転させて物議に
イスラエルは、イーロン・マスク氏が率いる Space X の衛星通信サービス Starlink(スターリンク)の展開に向けて協議している。10月17日(現地時間)、イスラエル通信省が明らかにした。
イスラエルは現在、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)と戦闘を繰り広げており、戦時中の通信を強化するねらいがある。イスラエルでは Starlink が利用できないため、サービスが展開されれば同国初のことだ。
戦時のライフラインを民間衛星が担う
この動きが重要な理由は2つの視点から整理できる。1つは、ロシアによるウクライナ侵攻で顕著になったように、宇宙衛星による通信インフラが戦時のライフラインとして機能するという、新たなトレンドを形成していることだ。
もう1つのポイントは、そのライフラインを民間の商用衛星が担うことの是非にある。衛星を提供する Space X のような民間企業は、国家の利益と一致する行動を取るとは限らず、大きな混乱を招く可能性がある。
さらに、そうした企業をマスク氏のような「予測不能」な人物が率いていることに対する懸念も提起される。後述するように、マスク氏はロシアによるウクライナ侵攻に際して、ウクライナに対する Starlink の提供方針を二転三転させてきた。