⏩ 「SNSの理想的な時代は終焉した」と言われるほどの状況
⏩ X の変化や Telegram の「緩い管理」などが悪化を助長
⏩ EU がプラットフォーム各社に対応を迫る
⏩ 示唆される Threads の復活とは
10月7日(現地時間)、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)がイスラエルに攻撃を仕掛け、翌日からイスラエルが報復を開始したことで戦争状態に陥っている。23日時点で、双方の死者は6,000人を超えたがいまだ停戦のめどは立っていない。
一方、戦闘開始以来、X(旧 Twitter)を筆頭にソーシャルメディア・プラットフォームでは偽情報や暴力的なコンテンツが飛び交い、大きな混乱を招いてきたことで、テック企業に対応が迫られている。
戦時中に、自国や敵のイメージを都合よく形成するため、偽情報や暴力的なコンテンツの拡散を含めた PR 活動をおこなうことは決して目新しい手法ではない。たとえば、イスラエル外務省は、ハマスを「イスラム国」(IS)と同じテロリスト集団と描き、人質の映像に「Hamas = ISIS」というメッセージを付与した動画を X、Facebook、YouTube、Linkedin などに投稿している。
戦時における偽情報の拡散は、昨日今日始まったわけではないにもかかわらず、今回の戦闘は「ソーシャルメディアの理想的な時代が終焉したことを示している」とも言われるほど、プラットフォームの状況悪化が著しいとされている。
なぜ、プラットフォームの状況は悪化しているのだろうか。そして、彼らはどう対応しているのか。
偽情報・暴力的なコンテンツの氾濫
戦闘が開始して以降、プラットフォーム上では、偽情報や暴力的なコンテンツが飛び交っている。たとえば、ハマスの戦闘員がイスラエルのヘリコプターを撃墜したとする動画は、ビデオゲーム Arma3 の映像を使用したものであり、ガザでイスラエル人女性が攻撃されたと主張する動画は、2015年にグアテマラで撮影されたものだった。他にも、ヴェローナ・マーク(Verona Mark)という存在しない BBC のジャーナリストを騙ったアカウントは、戦闘と無関係な映像を共有し続けていた。