⏩ 2001年から密接な関係、2016年には中国当局と秘密契約も
⏩ 中国は Apple 総売上の約20%を占める巨大マーケット
⏩ 中国工場の高い製造レベルも他国で再現困難
10月30日(現地時間)、Apple は Scary Fast(速いもの見たさ)と題したイベントで、新チップ M3 を搭載した iMac とノートパソコン MacBook Pro の新製品を発表した。
6月には、一時的に時価総額が3兆ドル(約450兆円)を突破するなど、好調ぶりが報じられてきた Apple だが、足元では米中対立の煽りを受けている。
米国が、半導体大手の Nvidia などに対し、高度な AI チップの対中輸出制限を強化し続けている一方で、中国からも Apple 製品を締め出す動きが見られる。同国は9月、政府職員に対し、職場における iPhone の使用を禁止したと報じられ、Apple の時価総額は2日間で約2,000億ドル(約30兆円)近く下落した。
世界最大級の時価総額を誇る Apple も、米中対立を受け、サプライチェーンの多角化を進めてきた。2023年8月からは、iPhone の受託製造を担う Foxconn がインド工場での生産をスタートさせている。
ただこうした動きがあってもなお、「Apple が中国から完全に撤退できる可能性は非常に低い」と言われている。10月18日、ティム・クック(Tim Cook)CEO が、中国・浙江省北部の工場を訪問し、最新の iPhone 15 Pro Max の製造工程を視察したことも同社の中国依存を印象付けた。この Luxshare という企業は、来年発売予定の新しいヘッドセット Vision Pro の生産拠点にも決まっている(*1)。
テクノロジーの覇権をめぐる米中の貿易戦争が激化しているにもかかわらず、なぜ、Apple は中国への依存から抜け出すことができないのだろうか。
(*1)Luxshare を含む Apple の製造工場は、2021年に新疆ウイグル自治区での強制労働に関与した疑いがあると報じられている。ウイグル自治区に関しては、弊誌が「ウイグル問題とは何か =「深刻な人権侵害」は、なぜ・いつから・どのように問題視されているのか」で詳報している。