日本国内で著名人の薬物逮捕者がニュースを騒がせる中、大麻については解禁運動も注目されており、海外では医療用・娯楽用として合法化された国も存在する。
一方で、「ゲートウェイドラッグ(強い依存性や副作用を持つ覚せい剤などの薬物を使用するきっかけとなる薬物)」としての大麻に対する警戒や、犯罪組織の資金源として規制強化に向かう動きもあり、大麻が持つ成分の薬効/薬害についても、さまざまな制度の実施、研究結果の公表がなされている。そこでシリーズとして、大麻規制・合法化の行く末について多角的に検討していく。
第一回目となる今回は、世界各国の大麻規制とその合法化をめぐる現状と動向について検討する。
大麻の規制は一様ではない。違法薬物として取引した者に死刑を科す国から医療目的の使用を認める国、娯楽目的の嗜好品として酒やタバコに類する扱いをする国など、さまざまなレベルでの法規制がなされている。また、合法であってもその扱い方は国によって異なり、所持、流通、栽培、どのように消費できるか、(医療用に関しては)どのような病状に使用できるかという点で異なっている。
国際的なレベルでは、1961年の「麻薬に関する単一条約」、1971年の「向精神薬に関する条約」、そして1988年の「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約」の3つの国連条約によって、ほとんどの国で政策が規制されている。これらの条約は、医療や研究などの特定の目的のために許可を得ている場合を除き、特定の(名目上は麻薬)薬物および類似の効果を有する薬物の生産と供給を禁止する内容となっている。
合法化の現状
では、世界各国での大麻合法化はどの程度なされているのだろうか。ここからは娯楽、医療という法規制に関わる2つの使用目的、そして商用製品に関して現状を見ていくこととしたい。