先月20日、Netflixで配信されたデイブ・シャペル氏のコメディ番組『The Closer』でのトランスジェンダーに関するジョーク(*1)について、同社社員やLGBTQ+の支援団体らが抗議ストライキをおこなった。
同番組をめぐっては視聴者からも批判の声が相次いでおり、「cancelnetflix.com」というリンクを介して、Netflixの解約方法が書かれたページに誘導する動きも広まっている。
このストライキには数百人が参加し、主催した黒人トランスジェンダーの活動家アシュリー・マリー・プレストン氏は、こうしたジョークによってトランスジェンダーの人々らの「命が奪われることを懸念している」と述べた。
シャペル氏は、アメリカコメディ界のトップに君臨する大御所コメディアンで、批判を恐れない強烈なブラックジョークを黒人の立場から飛ばす芸風で人気を集めてきた。炎上沙汰がありながらも概ね好意的な評価を受けてきた同氏だが、なぜ今回このようなストライキに繋がったのだろうか?
(*1)これらは「ジョーク」ではなく差別発言やヘイトスピーチとして理解すべき側面もあるが、番組の文脈を踏まえて本記事では「ジョーク」として統一する。
問題となった発言
今回問題となったのは、シャペル氏によるLGBTQ+コミュニティ、中でもトランスジェンダーの人々に対するジョークだ。
1つは、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)として度々批判されてきた『ハリー・ポッター』の作者J・K・ローリング氏を擁護する発言だ。「トランス女性は男性だ」という主張をおこなうローリング氏について、シャペル氏は「ジェンダーは事実だ」と支持を表明した。