中東・レバノンの首都ベイルートで10月14日、昨年の大規模爆発事故捜査に対する抗議デモで参加者を狙った発砲があり、銃撃戦へと発展した。死傷者は少なくとも38人にのぼり、これは近年のレバノンにおける最悪の暴力事件となった。
デモを主催したイスラーム教シーア派組織「ヒズボラ」(Hezbollah)は、対立するキリスト教系政党の「レバノン軍団」(Lebanese Forces)が発砲したと非難しているが、同団体は関与を否定している。
爆発事故から1年以上が経過した今、その捜査をめぐって緊張が高まっているのはなぜだろうか?
捜査担当判事への批判
緊張の背景にあるのは、爆発事故の担当判事めぐる対立だ。
捜査を担当するタレク・ビタル判事は、当時首相であったハッサン・ディアブを含む政治家や港湾当局幹部の責任を追求しようとしていた。というのも、事故原因は危険な状態で放置された硝酸アンモニウムの発火であり、当時の政府や港湾当局はその管理体制の改善や安全性確保を怠ったとされているためだ。