・ロシアは性暴力を「武器」として用いて、ウクライナを屈服させようとしているとも指摘。
・性暴力被害者への偏見やウクライナ側の未整備などにより、性暴力の実態把握や問題解決が困難になっている。
(注)本記事には、凄惨な性暴力に関する記述などが含まれています。
ロシアの侵攻を受けたウクライナでは現在も戦争が続いており、民間人の犠牲者は4,700人以上と推計されている。(*1)しかしウクライナ側の被害は、ロシアの軍事攻撃によるものだけではない。ロシア兵による民間人への性暴力被害が相次いでいるのだ。
ウクライナにおける性暴力の実態については、現在調査が進められている。親が子どもの目の前でレイプされる事例や12歳と15歳の少女が被害者となった事例、生後9ヶ月の赤ん坊が被害者となった事例なども報告されているが、未だ被害の全容は明らかになっていない。
ウクライナの性暴力をはどのような現状にあるのだろうか?そして、なぜウクライナで性暴力が続いており、その実態把握が困難となっているのだろうか?
(*1)紛争地域での調査が難しいため、具体的で正確な数字は明らかにされていないが、国連は6月末までに4,700人の民間人が死亡したとしている。しかしこの数字は、実際の死者数を大きく下回ると考えられている。
ウクライナにおける性暴力の現状とは?
ウクライナにおける性暴力は、侵攻から約1週間後には既に報告されていた。また6月には国連が具体的数値を報告しており、そこには女性や子供だけでなく、男性も含まれている。しかしその数は「氷山の一角」だと指摘されている。
性暴力の報告件数
2月24日のウクライナ侵攻から約1週間後の3月4日、ウクライナのクレバ外相が戦地における性暴力を報告した。ここでは具体的な件数などは明らかにされなかったが、「残念なことに、ウクライナの都市でロシア兵が女性をレイプする事例が数多くある」と述べられた。
そして、6月6日に開かれた国連の安保理会合では、パッテン事務総長特別代表がウクライナにおける性暴力の実態を具体的な数値とともに報告した。