ウォルト・ディズニーの今期決算で、同社がストリーミング動画配信サービスの契約数でNetflixを抜き、業界トップに立った。
同社が展開するDisney+などのストリーミングサービスの総契約件数は、2022年7月時点で2億2,000万件を超える。Netflixは今年に入って100万件以上の会員減少を経験しており、この間にディズニーが契約件数で上回ったかたちだ。
「サブスク疲れ」やパンデミック明けの反動から、Netflixに限らずストリーミング業界全体の停滞が懸念される中で、ディズニーの健闘ぶりは注目に値する。ディズニーはいかにしてNetflixを追い越したのだろうか?そして今後のストリーミング業界は、どのように勢力図を変化させていくのだろうか?
両サービスの契約数比較
まずは、両サービスの具体的な契約件数を比較していこう。
ウォルト・ディズニーは8月10日、Disney+を含む同社のストリーミングサービスの総契約件数が、第3四半期末(7月2日)時点で、前期から約1,440万件増の約2億2,110万件になったと発表した。この数字には、Disney+の契約数に加えて、コムキャストと共同出資するHulu、スポーツ専門チャンネルのESPN+の契約数も含まれている(*1)。
一方、Netflixは7月19日の第2四半期(4-6月)決算で、契約件数が前期比で約97万件減の約2億2,067万件と発表している。各ストリーミングサービスの契約件数と増減数は、次のとおりだ。
表1:ディズニーおよびNetflixの各ストリーミングサービス契約件数
サービス名 |
契約件数(百万件) |
前期比(百万件) |
|
ウォルト・ディズニー |
Disney+ |
152.1 |
+14.4 |
Hulu |
46.2 |
+0.46 |
|
ESPN+ |
22.8 |
+0.45 |
|
合計 |
221.1 |
+15.31 |
|
Netflix |
220.7 |
-0.97 |
これによって、今期の決算でディズニーは契約件数で競合のNetflixを追い越したこととなる。
Disney+は、2019年11月にスタートしたばかりのサービスだ。2007年から15年にわたってストリーミングサービスを提供して急速な成長を遂げていたNetflixを、3年も経たずに超えたことは驚異的な出来事だと言える。
(*1)ディズニーの発表した総契約件数は、会員人数ではなく会員契約件数であるため、同じ会員が3サービスを同時に契約している場合は重複してカウントされる。
急速な成長の理由
それではなぜ、ディズニーは急速な成長を遂げたのだろうか。その理由は、次の3つから理解することができる。