⏩ 偵察から標的確定、攻撃の判断と実行にまで AI が浸透
⏩ イスラエルで進む「大量暗殺工場」における AI の役割
⏩ 後方支援や人道支援でも活用が期待
2022年に始まったロシア・ウクライナ戦争、そして2023年に始まったイスラエル・ハマス戦争それぞれにおいて、AI はすでに実戦投入されている。
前編の記事では、シリコンバレーや世界情勢の変化などにより、戦争をめぐるビジネス構造に地殻変動が訪れている点に触れた。
中編の本記事では、「大量暗殺工場」を構築していると言われるほど甚大な被害をもたらす一方で、人命救助にも使われる AI について、戦争における使用方法を概観する(太字は引用者による、以下同様)。「21世紀の AI 武器商人」たちは、戦争においてどのように AI を活用しているのだろうか。
戦争で AI はどう使われるのか?
前提として、人間のサポートや判断を介さずに殺傷力を持った戦闘をおこなう自律型致死兵器システム(LAWS)はロシア・ウクライナ戦争でも、イスラエル・ハマス戦争でも導入されていない。
そのうえで、現在の戦争における AI の使用方法は、場面に応じて大きく3つの方向性があり、具体的には(1)戦闘関連の軍事タスク(2)非戦闘関連の軍事タスク(3)人道支援だ。
1. 戦闘関連の軍事タスク
1つ目に、物理的な戦闘に関わる軍事タスクとして、AI を活用するケースがあげられる。これにはさらに、偵察と監視・ターゲットの識別・指揮統制・攻撃の4種類がある。
1-1. 偵察と監視
戦闘関連の軍事タスクにおける第1の使用法が、偵察と監視だ。