今月15日、タリバンによってアフガニスタンが掌握されたことで、世界中に驚きが走った。2001年の同時多発テロ以降、アフガニスタンへの関与を強めてきた米国や欧州各国は、関係者の救出や難民の援助などを進めている。
国際社会の動きが慌ただしくなる中、アフガニスタンとの関係を注視されているのが中国だ。一体なぜ、中国とアフガニスタンおよびタリバンとの関係が注目を集めているのだろうか。
アフガニスタンと中国の関係
そもそもアフガニスタンは、北東部において中国と国境を接している。中国の国境側には新疆ウイグル自治区が面しており、この周辺は歴史的にシルクロードの主要な経路だったことでも知られる。
アフガニスタン(Google Map)
両国の関係は、経済的にも政治的にも深まりつつある。2001年のアフガニスタン戦争以降、中国は隣国であるアフガニスタン情勢に深く関与することはなかったが、2015年前後から変化が生まれた。
歴史的に、中国にとってアフガニスタンの外交的な優先順位は低かったが、米国のアフガニスタンからの撤退路線が強まるにつれて、中国・共産党はその外交戦略を「計算された無関心」から「戦略的関与」へと転換させている。
NATO撤退とアフガニスタン-パキスタン関係
中国による政策転換の契機および象徴的な出来事は、大きく2つある。1つは2014年、米国および北大西洋条約機構(NATO)軍の「不朽の自由作戦」が終了したことで、アフガニスタンから多くの部隊が引き上げたこと、もう1つは2017年、パキスタンとアフガニスタンの政治的緊張が高まり、中国が介入をおこなったことだ。
まずNATO軍の撤退は、アフガニスタン情勢を大きく書き換えた。弊誌「アフガニスタンで何が起きたのかを概観する」でも見たように、この頃からタリバンの攻勢は強まり、アフガニスタンおよび周辺国の安全保障および治安が不安定化していく。後述するが、このことが中国のアフガニスタン政策に大きな転換をもたらした。
この転換の結果として、アフガニスタンとパキスタン、そして中国の3ヶ国によるパートナーシップが生まれてくる。
もともとパキスタンは、中国と友好関係を築いてきた一方、アフガニスタンとは2015年頃から断続的に緊張の高まりが生じていた。両国の関係は、2017年にアフガニスタンの首都カブールで起きた90人以上が死亡する自爆テロによって、決定的に悪化した。アフガニスタン当局は、パキスタンの諜報機関が反政府組織タリバンのテロ活動を支援していると主張して、両国間で非難の応酬が続いた。
この時、アフガニスタンとパキスタンの仲介に乗り出したのが中国だった。その結果、中国・アフガニスタン・パキスタンによる三国間パートナーシップが締結されることになった他、同年末には三国間外相会議が開催され、中国が南アジア地域の安定化および安全保障にコミットすることを印象づけることとなった。
「計算された無関心」から「戦略的関与」の3つの背景
では、中国の政策転換の理由は何なのだろうか?大きく3つのポイントが挙げられている。
1. 安全保障上の懸念
最初に挙げられるのは、アフガニスタンの治安悪化による中国にとっての安全保障上の懸念だ。