2月24日、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して以来、1ヶ月近くに渡って両軍の激しい攻防が続いている。米国やEUなどの国際社会は、ロシアに対する厳しい経済制裁に踏み切った他、ウクライナへの軍事支援を続けている。
侵攻前、ロシアのプーチン大統領はウクライナについて「ウクライナは、正統性ある国家を有したことはなく、現在も安定した国家は存在してない」と述べた上で、「現代のウクライナは、完全にロシアによって生み出され、具体的に言えば、共産主義ロシアのボルシェビキによる産物だ」と主張した。こうした発言に根拠がないことは、多くの論者によって指摘されているものの、プーチン大統領やロシア政府関係者は、こうした主張を繰り返している。
そもそもウクライナとはどのような国であり、歴史的にロシアとどのような関係を持ってきたのだろうか? 3回のシリーズを通じて、その基本的データや歴史的経緯などを概観しつつ、両国の関係や複雑な立ち位置を見ていく。
ウクライナの人口・面積
ウクライナは、ロシアやポーランド、ベラルーシなどと国境を接する東ヨーロッパの国家だ。約4,300万人の人口を抱えており、ドイツ(8,300万人)やフランス(6,700万人)よりは小さいものの、スペイン(4,700万)に匹敵する人々が暮らしている。
ウクライナ周辺(Google Map)
最新のデータである2001年の国勢調査によれば、ウクライナには 77.5% のウクライナ人、17.2% のロシア人、1.1% のルーマニア人およびモルドバ人などが暮らしている。2014年にロシアにより併合されたクリミア半島や東部の国境付近にはロシア人が多く暮らしており、たとえばクリミア半島は人口の過半数(58.3%)がロシア人となっている。